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東京高等裁判所 昭和62年(行コ)10号 判決 1988年1月27日

山梨県中巨摩郡昭和町西条四一九七番地

控訴人

窪田正男

右訴訟代理人弁護士

佐々木国男

鈴木正捷

東京都千代田区霞が関一丁目一番地

被控訴人

右代表者法務大臣

林田悠紀夫

右指定代理人

河村吉晃

川島和雅

星野弘

鈴木高一

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し金三七二万〇六〇〇円及びこれに対する昭和五七年七月一四日から完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。訴訟費用は、第一、第二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、原判決事実摘示(判決書中八丁裏三行目「右協定書」を「原告主張の協定書」に、九丁裏三行目「きゆり」を「きゆうり」に改める。)のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も、控訴人の請求は失当として棄却されるべきものと判断する。その理由は、原判決の理由説示(判決書中二二丁表六行目「右農業委員会が」の下に「同月二七日」を加え、二四丁表四行目「道路予定地」から同所八行目「持つておらず」までを「道路予定地について所有者の承諾を得ることは当然のことながら、賃借権等の占有使用権が設定されている場合には、更にその権利者の承諾を得て当該土地を何らの負担のない状態において取得するのが最大の課題であつて、土地所有者が当該諸誘致について賃借権者等の権利の存在を認め、右賃借権者等との合意により、公団から支払われるべき買収代金の配分を決めたときは、公団は、予定の買収価額の範囲内である限り、あえて賃借権者等の権利が実体上有効に存在するか否かについて詮索を試みる必要はないのであつて、右所有者らの申出に従つて買収代金を交付することをもつて足りるものであり、したがつて公団がその一部を耕作権の補償金の名目で所有者以外の賃借権者等に支払つたとしても、それは国を含む公団以外の第三者に対する関係において賃借権等の存在を有権的に確定したことにはならない(公団にも公団職員にも法律上かかる権限は付与されていない。)ところ」に、同丁裏六行目「のみならず」から二五丁表六行目までを「すなわち、原告と三浦との間の本件土地の使用を巡る法律関係の実態は、前認定のとおり、賃貸借又は使用貸借の範疇に属するものではなく、三浦が原告の経営する農業を手伝い、報酬として収穫代金の一部を得ていたにすぎなかつたものというべきである。」に、二六丁表三行目「公団」から同所六行目「前掲」までを「前掲」に、二八丁裏七、八行目、一〇行目及び二九丁表三行目の「賃借権」を「賃借権又は使用借権」に改め、三〇丁表初行「のみならず」から同所五行目終りまでを削り、同所六、七行目「添付」を「添附」に、三一丁表三行目「原告の」から同所七行目「いうべきである」までを「任意買収による譲渡代金に対し課税すること自体が憲法二九条三項、一四条に違反することにならないのみならず、また、法三三条の四において課税対象金額を、当該資産の譲渡に係る当該残額に相当する金額から三〇〇〇万円を控除した金額とする旨定めることは、立法政策として許容される範囲内のもので、何ら違憲の問題を生ずるものではない」に改める。)と同一であるからこれを引用する。

よつて、原判決は相当であつて本件控訴は理由がないからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法第七条並びに民事訴訟法第九五条及び第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 賀集唱 裁判官 安國種彦 裁判官 伊藤剛)

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